●第68回「新年あけましておめでとうございます」

今年は例年通りにわが宮原家ではめでたく年が明けました。昨年と違い、皆が健康な状態で年が明けたのはいいのですが、今年は息子の大学受験であります。何かとあわただしく、また、過度の緊張感からか、家庭内も何と言いますか、ギスギスしている感じです。これは受験戦争が終結を見るまでは致し方ないのかな、と覚悟して3月くらいまでは過ごす覚悟でおります。

それにしましても、息子を通してではありますが、30年以上ぶりに大学受験というものに接しましたが、僕らの頃とは様相がかなり違っておりました。例えば、一つの大学を受験するにも多くの受験方法があり、また、それらがそれぞれ他学部や他学科と併用出来たりもします。ですから、「どの学科でもいいから〇×大学へ行くんだ！」という人には、いい時代になったかと思います。僕自身が高校生の時は正直、「まず〇×大学ありき。何学科でもいい」と言って受験する人のことはあまりよくは思いませんでした。何になりたいわけでもないのに、偏差値的に届くからといって、全く興味のない学部、学科を受験し、受かり、『「〇×大学生」というプライドだけをゲットする』という考え方だと、卒業した際に、本人も困るだろうし、その人が受かってしまったせいで、純粋にその大学、学部、学科のやっていることに心頭し、偏差値がいくつであろうがどうしてもその大学、学部、学科（あるいはそこの教授）で学びたいという、本来の考えでその大学を志望した人が落ちてしまえば、その落ちた人にももちろんいいことはありません。

でも最近、そのような考えから自分も変わりつつあります。例えば親父に「なぜ医者になろうと思ったの？」と聞いても、「多くの人を助けたかったから」などといった、いわゆる正当な動機からではなく、「ただ、勉強がそこそこできたので、三重大医学部に受かるかもしれなかったから受けてみた」という返事が返ってきました。そんな親父が、そんな動機で医者になった親父がヤブ医者になったかといいますと、一緒に開業し、この15年間近くで見ておりましても、決してそんなことはなさそうで、75歳を超えた今でも親父を頼って多くの方が診療に来てくださいます。医者は国家資格が必要で、医学部卒の人しか医者になれないという特殊な学科ですから、上記とはまた違う話なのかもしれませんが、そのような光景を見ておりますと、志望動機が尊いものであれば、それはそれで素晴らしいことですが、そうでなくてもどの学部、学科に行こうが、その分野に興味を持って、大学入学後も頑張って勉強したら、その分野で活躍できる人もいることに、恥ずかしいことにごく最近、ようやく気が付きました。

いずれにしましても、昨今の受験はただ純粋な学力だけでなく、戦略といいますか、作戦といいますか、志望校に特化した勉強といいますか、そのようなものが合格大学を決めるようで、一概に模試の結果と実際の大学受験の合否が比例しない要素が、僕の受験の頃よりも多分にありそうです。このコラムを受験生の方自身がご覧になることはないでしょうが、その親御さんや、祖父母の方はご覧になっておられる方も多かろうと思います。そのような方は僕と同じ心境でしょうが、結局頑張るのは本人で、その周りの者は支えるしかありません。これもこれでストレスでしょうが、ともに乗り切っていきましょう！自分の人生を振り返ってみましても、大学生活が一番楽しかったです。結局はどの大学に行っても、楽しい大学生活が待っていることでしょう。あと長くても2か月少々のことですから、張り切っていきましょう。体調管理だけは怠らずに。それでは。

2020年1月7日