●第54回「2014年を振り返って」
今年は暖かい冬と聞いていたのですが、もう何回目かの寒気の波が来て、とても寒い冬となっております、皆様いかがお過ごしでしょうか、宮原医院副院長の宮原です。まだこの三重県は雪が積もっていないのでそれほど影響はないのですが、日本海側の方におかれましては大変な状況になっているようで、ご苦労お察しします。
今年を振り返ってみますと、仕事のほうでは、まずは町内で認知症検診を本格的に始めました。皆様もご存じのように今では抗認知症薬があり、早く発見して、そういった薬をちゃんと飲めれば、現在の生活をかなり長く維持できる時代となりました。また、同じく早く飲めれば、認知障害・記憶障害が進んでしまったと来ても、周辺症状(幻覚、妄想などの厄介な副症状のことです)の発現率が低く抑えられ、介護の要する時間が大きく違ってくることも周知の事実となってきております。しかし、例えば僕の親が認知症を発症したて(つまり軽度発症)の状態だったとしても、専門医である僕が見抜けるかどうか自信がありません。実際、一昔前よりはかなりよくなりましたが、僕の外来に初診で来る患者さんの多くは中等度まで進んでから来られます。そうなってきますと、最も効果的なのは、検診で認知症を疑おうが疑うまいが、皆さんスクリーニング検査を受けていただき、そこで早期発見患者さんを拾っていくことだと考えました。まだ始めたばかりなので、ひっかけに行くカットラインをかなり下げて始めました。今後内容や、カットラインを検討し、より精度を上げていくつもりです。
さらに年末になりまして、うちの町でもようやくパーソンセンタードケアの初級ですが研修修了者が出ました、しかも3人も。僕が講演や、臨床現場でお話しするようになって7年です。僕自身が動いていないから偉そうなことは言えませんが、ようやく7年たって、町も動いてくれるようになり、感慨深いといいますか、ほっとしているというのが正直な心境でしょうか。どうしても認知症の周辺症状を薬で抑えるのには無理があります。ご高齢の方が多いので副作用も出やすいのです。さらに、最近はやりのレビー小体型認知症であれば、なおさら薬に弱いのが特徴なので、投薬が難しくなっています。そういう中で、介護力で周辺症状を予防、あるいは治療するという、パーソンセンタードケアは、非常に大きな役割を今後担うだろうとして宣伝してきたわけです。もちろん患者さん本人にももっともやさしいケアだと思います。早く町全体でこのような概念が根付くべく、来年は更にささやかながら尽力したいと考えております。
また、新しい試みとして、来年はミニ勉強会(第35回)でもお話しした通り、光療法に注目し、希望者にお貸出しし、どれだけ有効かを検証していくことをテーマの一つに考えております。ご興味のある方はご相談ください。
冒頭でもお話ししましたが、今年の冬は寒く、この年末にも10年に一度の大寒波がやってくると聞いております。皆様も風邪などひかぬよう、また、外出の際にはくれぐれも雪の情報には気を付けてそれなりの装備をして(服・車など)事故にも気を付けて新年をお迎えください。それでは今回はこの辺で。.
2014年12月26日
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