宮原医院 心療内科
 トップページお知らせ(コラム)>副院長のひとり言 第47回「初めての手術(2)」
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宮原医院 心療内科所在地

〒519-2704
三重県度会郡大紀町
阿曽2270

電話:0598-86-3555
Fax:0598-86-3505

休診日
水曜・木曜・日曜・祝日・土曜午後

診察時間
9:00-12:00/14:00-17:00
※1 土曜は9:00-12:00
※2 午前11時からの1時間と午後2時からの1時間は、初診の方専用の診療時間とさせて頂いております

お知らせ

●第47回「初めての手術(2)」

(1)の続きです。前回のひとり言をお読みでない方は、第46回からお読みください。

(3)手術日まで
5/22に入院し、その日は、執刀医と面談し、今までの検査結果を聞き、「ラパ胆」で行けそうだが、のぞいた具合によっては途中で開腹に切り替えるかもしれないという内容でした。また、足りなかった検査がいくつかあり、それらを受け、あとは点滴をしておしっこの量を計測するというだけでしたので、比較的楽観的に過ごせました。しかし、やはり入院期間に関して、執刀医の先生は慎重で、「日曜日に退院できるといいですね、まあ、大丈夫でしょう、何とか期待に添えるようにします」というものでした。その日は早く寝て、いよいよ23日、手術日となりました。朝9時になりますと、手術室の担当看護師さんが来て手術室に連れていかれました。普通に点滴台を持って歩いての入室でした。そこで手術台に横になり、服を脱がされ、麻酔のガスをかがされました。「どうですか」と聞かれましたが、あまりにそのガスがくさかったので「臭いですね」といったことを覚えていますが、それからのことは一切記憶にありません。次に意識が戻ったのは、回復室に戻り、妻と父と面会した時でした。「ラパ胆で済んだよ。予定通りに全てが終わった」といった内容をそこで聞きました。この部屋で一日過ごして翌日自室へ戻る予定でした。この部屋で予想していたのは、開けたお腹の穴の痛みが、麻酔が覚めたら徐々に痛くなってくるだろうなということと、鼻から胃へのチューブと、尿をとるチューブが、気持ち悪いだろうなということでしたが、なぜか鼻のチューブは気がついた時には抜かれておりました。鼻の穴を触ってみると鼻血の跡が固まっています。ですから、術中は入っていたはずです。手術が終わってからこの部屋に来るまでに、暴れて引っこ抜いてしまったのだろうか、かなりご迷惑をかけてのではと不安になりましたが、すぐ隣に今しがた手術が終わったばかりの人が運ばれてきて、その人は鼻からチューブが入っており、しかもかなりそれが気になるというか苦しがっております。お隣さんには大変気の毒でしたが、何はともあれ、術後の苦しみの一つからは解放されたと素直に喜びました。しかし、尿道カテーテルと呼ばれる、尿を採る管が思った以上につらい。少しでも下半身を動かすと、激痛が走ります。1センチでも下半身を動かすものか、明日になればこの管は取れると言い聞かせ、何とか一晩持ちこたえようと思っていたのですが、ここで大きな誤算が生じました。実は僕は腰痛持ちで、休みの日でも、7時間も寝ると腰痛で起きてしまいます。一度起きてしまえばこの腰痛はなくなりますが、逆にいえば起きるまでずっといたいのです。この腰痛が夕方あたりからじわじわ出てきました。術後で立てない、それどころか尿道カテーテルで、寝返りさえできないという状況で、腰が痛くなり、いてもたってもいられなくなってきました。無理でもなんでもいいから、一度立たせてほしい、そうでなけでば耐えられないという感情が湧きあがり、いっそのこと寝たかったのですがそれもできず、苦しい時間が一晩続きました。また、おなかの穴の痛みは、痛み止めの注射でいくらかは引くのですが、腰の痛みは取れません。看護婦さんに湿布を貼ってもらったりもしたのですが、効果は一時的でただひたすら耐えるだけの一晩でした。また、そのさなか、おなかの穴からの出血が止まらず、その状況でおなかをひと針縫ったのも大変痛かったです。

(4)5/24(金)(手術翌日)
まったく寝れないで迎えた翌日にようやく尿道カテーテルが取れました。これを抜くのも予想以上に痛く、いろいろな組織が根こそぎ取られたのはないかと思ったほどです。とはいえ、これでようやく下半身が自由になり、少なくとも足が動かせるようになり、一安心です。しかし、この日もまたお腹の穴からの出血が止まらず、またお腹を縫いました。これまた大変痛い!ということでこの日も自室のトイレまで歩いて尿をする以外はベッド上安静でした。ここで、何日がぶりに立ったのですが、座る、立つときのお腹の痛いこと。でもお蔭で腰の痛みは激減しました。妻にずっとマッサージをしてもらっていたこともあり、ようやくこの日に腰痛地獄からは脱しました。

(5)5/25(土)(手術後2日目)
まだ出血が止まりません。この穴はドレーンと呼ばれる管がおなかの中に向かって入れてあるものなのですが、いっそのこと、そのドレーンを抜いてしまって、その穴を縫って塞いでしまおうということになりました。またまた縫うの?と泣きそうになりましたが、ドレーンを抜くと一気に楽になるという担当医の言葉を信じてやっていただくことにしました。臭いものには蓋をするではないですが、お腹の中からの出血ならお腹を閉じて、見た目の出血はなくなっても中ではえらいことが進んでしまうのではと不安になりましたが、腹壁(お腹の壁)からの出血だから大丈夫と言われ、やってもらいました。ドレーン抜去と、昨日、一昨日に縫った糸の抜糸、その後の穴をふさぐ縫合も含め、大変痛かったです。お昼になり、3分がゆがスタートしました。夜になって縫ったお腹の傷からの出血が少なくなり、ようやくここで退院のめどが立ち、予定では夕ご飯も3分がゆだったのを急きょ全粥に変更しました。またこの日何日ぶりかの便も出て術後の腸閉そくの危険も回避できました。

(6)5/26(日)
ようやく一人で起き上がることができ、50m位は歩けるようになったため、退院の運びとなりましたが、翌日に診療することを想像した時にとてもする自信がありませんでした。もちろん40km以上の通勤はできず、それを妻にしてもらったとして、ずっと診察室に座り続けることも、患者さんと話すこもできない、電子カルテを打つ自信もありませんでした。そこで、当院スタッフさんに動いてもらい、急きょ5/27は休診として患者さんにその旨を連絡し、受診日を変えてもらいました。また、この日、何日ぶりかにシャワーを浴びました。おなかの痛みは夜になっても相変わらずで、ずっと立っていました。横になってもぐっすり休めず、また座る、立つ時が痛いので、立っている方が楽なのです。

(7)5/27(月)
自宅で療養させていただきました。今日になってようやく横にも気持ちよくなれ、起き上がるのもそれほど辛くはなくなってきました。

(8)5/28(火)
妻に運転してもらい宮原医院へ。なんとか無事に初日の診療が出来ました。

今後は5/30に抜糸をして、その際、摂った胆嚢の組織が癌化していないかどうかを診てもらっているので、そのコメントをもらうといったところでしょうか。胆石が出来た方の1%に胆のうがんの可能性があるようで胆のうをとった方は皆調べるそうです。まだ完治とは言えませんがここまでを振り返って思うのは、一言で「ラパ胆」と言っても術式がいろいろあり、伊勢も病院の勤めている友人のところでは、お腹に穴を一つしか開けない術式で、それなら短めに入院期間が済むのが一般的なのでしょうが、今回受けた何か所か穴を開けるような手術では、1週間くらいは入院をするのが一般的なようです。それを混同して理解していたので今回のような見込み違いが生じたのではないかと思いました。でも、ひと穴でやるとトラブルも多そうだし、開腹にもなりやすそうだし、僕はあの病院で、あの術式で、あの先生、スタッフさん達でよかったと思っています。ただ、迷惑をかけるくらいなら最初から1週間の休診期間を頂いてするべきだったというとことは後悔しております。もう二度とあのような機会はいりませんが、もし万が一、同じようなことをすることがありましたら余裕をもってお休みを頂こうと思います。その節はみな様、ご理解、ご了承のほど、お願いします。

最後に、僕の外来に初診で来られる方は、病歴を必ず本人様かそのご家族様から聞かせて頂いております。その際に「ラパ胆」の既往がある方が少なからず居られます。今まではそう聞いても、なんとも思いませんでしたが、今後「ラパ胆」を受けたことがあると聞いた時には、思わず「よくあのような大変な手術を受けましたね。よく我慢できましたね。すごい」と心から言ってしまいそうです。もちろん、もっと大変な手術は世の中にたくさんあると思います。そのような[大手術]を受けたことがある方がこれを読まれたら、「大げさなことを言いおって」とか、場合によっては「なんと甘い」などと思われる方も居られるかもしれません。でも、少なくとも今までの僕の感覚では、人が「ラパ胆」を受けたと聞いても、「そうですか。では胆のうがないので、採血上も胆道系と呼ばれる項目が少々高くなっていてもそのせいなのですね」、これ以上の感情が湧かなかったのが現状だったのです。あるいは回復室で、尿道カテーテルを無理やり引きちぎってしまう方がおられますと、「なんて我慢弱い人だ」とか「わがままな或いは自分勝手な人だ」とか「凶暴な人だ」という感情しか湧きませんでしたが、今は「よく判る。自分も本当にその一歩手前だった。」と、心から共感できます。実際、もう一日尿道カテーテルを入れといてと言われていたら、我慢できる自信がなかったです。或いは、「お腹の穴からの出血が内臓からのもので、今すぐもう一度手術をしましょう」などと言われていたら、とても耐えられる自信がありませんでした。おそらく非常に感情的になってしまうことは想像に難くありません。この1〜2日は日に日によくなるにつれ、ただ歩けることや、話せること、尿が出ること、笑えること(今日くらいからようやく笑えるようになりました。昨日までは笑うとお腹に激痛が走っていました)、このような日常の当たり前のことが出来るだけで本当にありがたい、豊かなことなんだなと痛感している次第です。お金がなくても、暇がなくても、したいことができなくても、当たり前のことが出来て、生きているだけで充分幸せなのですよということを皆様にもお伝えして、二回にまたがる長文を締めくくらせて頂こうと思います。いつもご愛読ありがとうございます。それでは今回はこの辺で。

2013年5月29日

 

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