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●第32回 「追悼」
梅雨入りし、うっとおしい季節となってきました、皆さんはどのようにお過ごしですか、宮原です。2011年になり一度も更新しておりませんでしたので、たまにはと思い、キーボードに向かっております。実は大変尊敬する、先輩精神科医師が急に亡くなる、という出来事が先日起こり、僕自身、呆然とする日々が続いておりました。あまりにも急で、若すぎる死でした。もちろん僕だけでなく、多くの精神科医に多大なる影響を与えた先生ですので、お通夜、告別式には普通では考えられないほどの人で別れを惜しみました。特に以前勤めていた病院から、しかも、医師だけでなく、看護師、作業療法士、事務職員なども数多く来られ、先生の生きざま、人柄、そして影響力を改めて痛感しました。僕自身もある職場で数年間だけ一緒に働かせて頂きましたが、非常に実りのある年月をともに送らせて頂きました。研究、教育などでなく、臨床という意味では最も影響を受けた先生のひとりです。何がすごいのかといいますと、とにかく洞察力がすごい、勉強熱心、自分に厳しい、といろいろありましたが、そういったことより何より、どんな人でも気がつけば、その先生の前では本音を言っている、言わされているのではなく気がつけば言っている、そんな感じで話をしている人の心を開かせる能力に長けていたのだと思います。これは誰にも出来ないことだと思いました。おそらく、懐が広いという安心感が、その先生からはオーラのように流れてくるので、皆安心するのだと思います。これは学ぼうと思っても、持って生まれたもので、僕には出来ないと思いました。しかし、決して器用な生き方は出来ない先生でもありました。後輩の自分が言うのもなんですが、その先生は、どのような状況に於かれても決して満足できない方であり、常に満たされない思いが心の根底にあったのではないかと思います。それゆえに、常に努力し、患者さんの治療にも他の医師以上に心血を注げたのでしょうが、その代りに安住の地をなかなか探せず、どこにいても不満が強く、何年かすると職場を変わっておりました。そのような先生がうらやましくもあり、また、しんどい生き方だなと思いながら一緒に働かせてもらっておりました。いろいろと思い出は尽きないのですが、あまり書くとどなたかわかってしまうので書けません。とにかく残された僕たちが、先生から学んだことをそれぞれの分野・立場で最大限生かすことしかこのあと出来ることはないのです。先生、見ていてください、名医には僕はなれませんが先生の様な良医にはなれるよう努力することは出来ます。
平成23年5月30日