宮原医院 心療内科
 トップページお知らせ(コラム)>副院長のひとり言 第11回「うつ病・自殺予防会議に参加してII」
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● 第11回「うつ病・自殺予防会議に参加してII」

 県と伊勢志摩地域の2つのうつ病・自殺予防会議に参加してきました(1/25と2/1)。ここまで会議に参加して思ったことをひとり言として綴ってみますと・・・。

1.一般県民、市町村民へのうつ病の啓発活動:この分野に関しては正直想像していたよりも近年よくやっているなという印象でした。リスナー(悩んでいる人の話をうまく聞ける人)養成制度を作ったことも有意義であると思います。ただ、まだまだ足りないのが現状と思われますので引き続きこういった活動は強化すべきだと思いました。僕も2-3年前に老人性うつ病、認知症のTV講演に出演しました。大紀町、宮川村、玉紀町などで放映されました。今年度は志摩病院精神科の先生が同じくケーブルテレビで講演をされたようです。各市町村にはケーブル放送局を持っているところが多いということなので、それを利用することは大変有意義だと思います。特にお年よりはよく見ていますので、老人性の精神疾患にはことさら有効だと思います。

2. 疫学的検査:つまりさまざまな角度からとった統計です。どのような職種あるいは立場の人が、どういったときに、どのようなところで、自殺を考えたり遂行するのかといったことを研究し、三重県独自の傾向を探ってもしそういったものがあれば、その改善策を練って行動に結び付けていくということが大事ですが、これは三重県ではまだまだです。三重大学さんが近く統計を出されるようで、その結果を待ちたいと思います。個人的にはアルコールとの関連、近親結婚との関連、何次産業についているか、精神疾患への理解度などが三重県で独自の傾向が出そうな気が普段の診療からしています。

3.相談機関を増やすこと。秋田では、「ふきのとうホットライン」というものを作成し、リーフレットとしてさまざまなところに「どういうことで悩んでいたらどういうところへ相談したらいいのか」ということを一覧表にして置いてあります。実際に機能しているようですが、三重県にも実は同じようなパンフレットがあり、これも三重県はがんばってネットワークつくりをしているなと評価していただけることと思います。ただ、あまりのそのパンフレットを、少なくとも僕が動き回っているところでは見かけたことがなく、配布されているところが少ないのではないかと思うことがひとつの懸念、もうひとつは秋田では、各相談窓口の背後に各々精神科医が最後に困ったときのために控えている、というシステムになっているようですが、三重ではそういった雰囲気はありません。なぜ必要か、そんなにそういったシステムが必要かと聞かれれば、うまく説明できませんが、秋田ではそうしないとうまく機能しなかったと東京でのシンポジウムで発表しておりました。

4.医師同士の連携・うつ病の認識の普及:これが最も遅れております。正直僕もどうしようもない問題です。日常診療の中で、連携して患者さんを診ていくことで、他科の医師との連携、疾患の理解を深めることに全力を注いでおりますが、個人では限界があります。これこそ、県の行政、各医師会が主体となって行ってもらいたい問題です。しかし、自殺予防協議会に出席していても、医師の間での自殺に対する問題意識の温度差が最も激しく、具体的な案も出ません。

僕は個人的には、秋田産業保健推進センター所長の斉藤征司先生に協議会メンバー対象に日本産業精神保健学会で発表されたものと同じものをご講演いただけたらすぐに解決するのにと思います。その学会は医師以外の人も入会できる学会で、それに合わせて医師はもちろん、行政、産業界、警察の人もどなたが聞いても参考になる話でした。少なくともどういったことをすればいいかに関しては、聞かれた皆さんが共通の意識を持てると思います。それとどうせなら、認知症対策も合わせて行うと効果的なのになと思います。特に老人ではうつ病、認知症は非常に鑑別が難しく、同時にやれば効率的だし、また同時にやらないと見落としが大変多くなると思うからです。
追伸 一般の方、また関係者からもご意見をお待ちしております。貴重なご意見は自殺予防協議会に反映させていただきます。皆さんで住みよい三重県を作っていきましょう。

2007年2月2日

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