宮原医院 心療内科
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宮原医院 心療内科所在地

〒519-2704
三重県度会郡大紀町
阿曽2270

電話:0598-86-3555
Fax:0598-86-3505

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水曜・木曜・日曜・祝日・土曜午後

診察時間
9:00-12:00/14:00-17:00
※1 土曜は9:00-12:00
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お知らせ

●第43回「第115回 日本精神神経学会に参加して」

大地震が起こった直後に被災地である学会会場に向かう、そのようなことを近年繰り返しているような気がする宮原医院副院長の宮原です。以前にも、大阪北部地震の直後に神戸に学会に行き、今回も6月19日より昨日まで、同月18日に震度6強の地震があった新潟に行ってまいりました。地震直後の報道で「この2-3日は同じような震度6強の地震が起こる可能性があるので十分にご注意ください」と言われていたので、てっきり中止になるのかと思っていましたが、結局は何事もなかったかのように普通に行われました。とはいえ、正直、不安な気持ちで新潟に行き、学会会場に居ても「今揺れても、ここの天井には照明など落ちてくるものはないから大丈夫」とか、道を歩いていても「あの建物が頑丈そうだから、今揺れたらあそこに避難しよう」などと常に考え行動していくうちに、そんなことを考えることにも疲れて来て、そのうち、「そんなん考えてもしゃあないやん。なるようになれ」と思うようになり、そうこうするうちに地震のこと自体を考えないようになってました。
さて、そういったなか、今回も少しは勉強してきましたが、僕の興味を最も引いたのは、「てんかんと認知症」についてのシンポジウムでした。高齢者発症のてんかんが意外に多く、認知症と誤診されやすいとよく言われるようになって、僕個人の体感だと10年くらいになろうかと思いますが、ようやく一般的に(少なくとも医学界の中では)なったかと思います。そこで、高齢発症てんかんと認知症(特にアルツハイマー)にスポットを当て、両者の違いや、特徴として判ってきたこと、治療などについて専門家たちのお話を聞けましたので、例によりまして、僕の理解によるご紹介ということになるので間違っているかもしれませんが、その知識のおすそ分けをしたいと思います。繰り返しになりますが、あくまで「僕はそう理解した」だけであって、実際に演者の先生が言いたかったことと乖離している可能性もありますので、「そのように理解することもできるのかな」といった感覚でお読みいただければ幸いです。要約すると以下になります。

① 数秒から1時間、はたから見ているとぼーっとしているだけだが、その後本人に聞いてみると、その間の記憶が無い、などということがあれば、てんかんを疑う。
② アルツハイマー型認知症(以下ADと略します)とてんかんの違いは、ADが時間的認知障害(時間的な感覚がおかしくなる)から起こりやすいのに比べ、てんかんは地誌的な認知障害(場所がわからない)からのことが多く、また、ADは近似記憶(最近の記憶)から障害されていくが、てんかんはずっと昔の大きなライフイベントも初期からボコッと抜ける。
③ ADの人は検査してみると、かなり早い段階から遅延再生能力(いくつかのことを覚えておいてもらい、しばらく経ってから覚えているか聞いてみる)から落ちていく。わかりやすいのは患者自身-長男-初孫の生まれた場所を順番に聞く。ADの人はこの順番で答えられない確率が上がっていく。それをもとに鑑別すべし。また、ADにてんかんの合併率が意外に高い。特に若ければ若いほど高い。70代以前発症のADではその合併を意識すべし。
④ 物忘れがある患者すべてに脳波とってみると、その5%に脳波異常(殆どが片側か両側の側頭葉部位にて、てんかん波と言われる独特の波形が現れる)、1%は診断としててんかんだが、4%はAD(+てんかん)
⑤ AD単独の人とAD+てんかんの人で比べると、後者の方が認知症の進行速度が速い。
⑥ 高齢発症のてんかんについては、薬に反応することが多く、つまり良くなりやすいので積極的に疑い、脳波検査をすべき(ただ、一度失われた記憶は戻らないことが多い)

僕の感想としましては、当院では脳波するのは今後も無理ではありますが、発症して4-5年以上が経っていても記憶検査してもすごくいい点数を取り、遅延再生能力を見る項目も高得点で、でも大きなエピソードの記憶が最近、昔に関係なくゴソッと抜けている、更にボーっとしていることが多いなどといったエピソードがあり、若い人なら尚更てんかん単独か合併している可能性は鑑別しておかねばならず、脳波検査できるところへ紹介する方向で考えなければいけないな、ということです。もしこれを読んでいる僕の患者さんやその家族の皆さんの中で、身に覚えがあればぜひ診察時にお申し出ください。こういったことは診察室でも気づくことがあるでしょうが、ご自宅での様子で気付くことの方が確率が高いかと存じますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

そのほかに、認知症の発症予防につきましても面白い話を聞いて来ました。このテーマは、お国が本腰を上げて取り組みだしたもので、そのせいか今冬に大紀町内でやる多職種研修で僕の話すテーマでもありますので、この話に関しましては研修でお話しします。ご興味のある方はお越しいただけたらと存じます。それでは今回はこの辺で。


2019年6月22日

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