宮原医院 心療内科
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●第40回「A市のコミュニティーバス」

すっかり肌寒い日が続き、我が家もすっかり衣替えが終わりました。それでも皆風邪気味なのですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか、宮原医院副院長の宮原です。さて、このコラムも更新されず3カ月が経ってしまいましたので、久しぶりに更新しようと思います。今回は、A市のコミュニティーバスについて普段思っていることを書かせていただこうと思います。

僕の講演を何回か聞きになった方はすでにご存じかと思いますが、地元の講演でのスライドつくりの際によく、「先生がこの地域に足りないもの、こうあればいいなあと思うこと、提案などがあればそれもスライドにして話してください」といわれることがあります。そんな時は、迷わず「コミュニティーバスの不充実が問題で、この充実こそが喫緊の課題だ」と必ず言ってきました。そう言い続けて10年位経ちます。まあ、言うだけ、批判するだけなら簡単ですよね。おそらく当地域の自治体の方々も、そんなことは重々承知していることと思いますが、現状のコミュニティーバスをより充実させようと思っていても、おそらくマンパワーも予算も厳しいので出来ないというのが現状かと思います。そこで、そういった自治体でもコミュニティーバスを充実させるとこが出来ないものかと色々調べてみたところ、僕は近隣県のA市での試みに注目しました。そこは、基幹バスが市内の大体のところを網羅しておりますが、いかんせん、A市は人口が決して多くないながらも面積がかなり広大で、その先々まではカバーできません。また、民間のバス会社(ここではC社としておきます)が運営しているので赤字では困るのでしょう、一日の運行本数がすごく少ないです。病院に行って帰ってくる位のことはできますが、ショッピングや友人宅に行くなど市民の足となるには本数が少なすぎます。そこで、基幹バスの停留所の数か所を起点として、バン程度の超小型バスが小さいエリアを周回することでコストダウンを図り、かつ市民の足とならないかという試みを10年以上前からしております(この小さなコミュニティーバスにもネーミングがあり、有名なのですがここでは「Bカー」とでもしておきます)。厳密にいえば、それはA市の試みというよりは、A市近辺をテリトリーとしている民間のバス会社が行っており、民間バスでコミュニティーバスの走っていない当地域において、その点では参考にならないかもしれません。しかし、わが町にそのような周遊バスを運営しようという民間バス会社は、残念ながら今後少なくともしばらくは現れないでしょう。でも、現れないから何もしないというわけにはいきません。そこで、自治体が現在運営しているコミュニティーバスを充実させるしか道はないのではないか、そのために参考になるのがこのA市の試みではないか、と僕は事講演があるごとに しゃべってきました。C社やA市に見学や話を聞きに行けばいいのではないかとも事あるごとに講演でしゃべってきました。わが町は間もなく人口高齢化率が50%を超えるでしょう。いわゆる限界集落ならぬ、限界自治体といいますか、限界町と近々なるのです。加えまして、道路交通法の改正で重症度に関係なく、認知症の方の自動車運転はダメということになりまして、僕もこの一年でも多くの方に「自動車の運転は控えるように」といったアドバイスをせざるを得ませんでした。そんな背景がありますので、コミュニティーバスの充実は喫緊の課題だと思うのです。

先月、そのA市の認知症疾患センター長(D先生としておきます)が伊勢市で講演されました。座長の先生からお声をかけて頂いたこともあって、僕も参加してきました。先述したような背景があった僕は、A市の認知症センター長D先生が@そのコミュニティーバスをどう思っているのか(その充実ぶりのおかげで、実際に病院としても多大な恩恵を受けていると実感しているのか)、A認知専門医としてあるいは認知症疾患センター長として、はたまた認知症疾患センターとして、そのBカーの運営や充実ぶりに対してアドバイスしたり、要望を出したりしているのか、BBカーは、認知症のお客さんに対する配慮や工夫といったことを何かしているか、といった質問をいくつか用意してその講演に参加してきました。実際には、講演の内容にはBカーに係るものではありませんでしたし、質問の時間に聞こうとも考えたのですが、他の先生方がいっぱい質問をされましたので、それも差し控えました。しかし、先述の通り、わが町でコミュニティーバスの充実は喫緊の課題なのです。あきらめきれない僕は、後日MR(薬剤メーカーさんです)を通じてD先生に聞いてもらうことをお願いしました。すると、かなり熱心にお答えして下さったという報告を、その後頂きました。その内容としましては、@やはり病院としても多分にBカーの恩恵を受けているということ、A認知症疾患センターとしてもC社と緊密に連携しあい、そのC社の社員、はたまた停留所近辺のお店屋さんなどにもこまめに認知症を理解してもらうべく講習なども頻回に行い、啓発活動に常に力を入れているということ、Bその結果何が起こったかというと、D先生自体が一番驚いた反応としては、わざわざバス停留所近辺にあるお店でも、積極的に移動販売をし始める店が増えた、ということだそうです。このBに関してのD先生による考察は、目の前でD先生と話し合ったわけではないので判りませんが、僕の勝手な推測ではD先生の講習を受けて認知症の理解が深まり、実際に自宅近くまで行って販売したほうがより認知症患者さん(あるいは認知症に関係なくご高齢の方に、ということかもしれませんが)にやさしいだろうという考えに店主が至った、という結果なのかなと考えました。そこまで考えた店主は、お金の勘定がしやすいように、さらにいろいろな工夫もしているかもしれません。例えば、ある料理を作る際に必要な食材を一からげに(一人分用、二人分用と)セットにしたものを作っておき、大まかにこのセットで500円とか計算しやすい金額で売る、とか。これは僕の勝手な想像ですが、そもそもBカー自体が運賃支払いで混乱しないように、どこまで乗っても100円と設定してあります。そのような経緯がある土地ですので、移動販売でもわかりやすい値段設定、という観点にすぐ目がいくだろうなと想像しただけです。

とまあ、今回の講演の内容も含め、D先生のお話は大変参考になりました。わが町にも生かせるところが多分にあると思われ、ヒントをたくさん頂いた気分です。それでは、今回はこの辺で。


2018年10月16日

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