宮原医院 心療内科
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宮原医院 心療内科所在地

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Fax:0598-86-3505

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水曜・木曜・日曜・祝日・土曜午後

診察時間
9:00-12:00/14:00-17:00
※1 土曜は9:00-12:00
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お知らせ

●第37回「日本老年精神医学会に参加して」@

梅雨入りしたというのに、全く雨が降りませんね、早くも夏の水不足が心配になってまいりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか、宮原医院副院長の宮原です。あまり勉強をしない僕ですが、年に一度の学会のシーズンになり、参加してきましたので、例によっておすそ分けを。いつも通り、僕なりの理解でまとめますので、演者の真意と違っていることがあるかもしれません。ご容赦ください。

ここ数年、楽しみにしていた、光療法などが影を潜め、いささか拍子抜けしましたが、それでも面白い発表にいくつか出会えましたので、例によって誤解を生じるかもしれませんが僕なりの理解で砕いてお話ししようと思います。

まずは、認知症患者さんの人権と保護とあり方というテーマに惹かれて拝聴させて頂きました。最近、様々な学会で講演を聴きに行きますと、法律専門家、弁護士が演者ということが珍しくなくなってきました。患者さんの人権を守る事は勿論ですが、医師が訴えられないよう、或いは訴えられても負けない様、リスクマネジメントの意味でもこういった分野の知識、勉強が医師に必要になって来たということかと思われます。僕が所属している医師会でも、先月そのような会が立ち上がったところだったので興味を惹かれたのです。内容としましては、先ずは先月の講演でも弁護士の先生がお話しされていたように、同意能力の有無の判断が様々な場面で判断されなければならないとおっしゃっていました。ただ、法的にこうならこう、といった明確な定義が日本では未だなく、仕方ないので現場医師が判断しなければならないのが現状で、こちらとしましては非常に悩ましいのですが、医師が判断する基準というのが、一応は存在します。それをご紹介する前に、「同意能力」とはなんぞや、という事を理解しなければなりません。それは、ある事を判断するのにその@理解できているかA認識することができるかB論理的に考えられるかCそれらを元に明確に意思表示できるか、それらが全て可能な際に同意能力が「ある」、逆に不可能なら「なし」とするもののようです。しかし、一言で認知症患者さんと言いましてもその程度は様々で患者さん一人一人でその都度判断しなければなりませんし、更に悩ましいのは、同一認知症患者さんでも同意してもらう内容の難易度によっては、「こういった簡単なことへの同意能力はこの人はある」とか、「こういった複雑な事の同意能力はない」と真逆の判定になる事もあり得るようなので、患者さん一人一人に、更に判断してもらう内容ごとにその同意能力の有無を診ていかなければならないようです。考え始めればキリがないようですが、一応MacCAT-Tという、そのための面接法も存在するようで、どうしても、明確に判断が必要な際には活用しよう、と思いました。それにしましても、先月伊勢で、リスクマネジメントの講演を聞いてなければ全く理解できなかったと思います。改めまして、ご企画、ご尽力いただきました方々に、この場をお借りしまして感謝申し上げます。

次に多職種連携がテーマのシンポジウムにも参加して来ました。これは、国全体の喫緊の問題だからというのも勿論ですが、来月僕が講演をさせていただく事もあり、勉強させていただくために聞かせていただいたのですが、あまり新しい或いは、面白い内容はありませんでした。ただ、「多職種」ということとは関係があまりないかもしれませんが、興味を惹かれた発表はありました。それは東京IS大の歯科の先生の発表でした。この先生は、大学病院の歯科医でありながら、その診療の多くを訪問で行なっている先生で、その先生は、「嚥下障害は一過性のことが少なからずある」とおっしゃるのです。病院を退院するときに嚥下障害で胃ろうや流動食しか摂取できなくても、その後、何もしなくとも、或いは嚥下リハビリを続ければなおのこと、食べられるようになっている人が決して少なくないというのです。同時に、そのような方にも漫然と退院時と同じ形態の食事内容が提供されていることが多いのも現状で、悩ましく思ったその先生は、全国全ての県をほぼ周り〔三重にも来ていただいたそうです〕、嚥下リハビリが出来る歯科医を育て、習得した歯科医には、その専門歯科医を認定する制度を作り、更には、ネット上で自宅近くのどの歯科医がそういったリハビリが出来るのか、そのリハ歯科医がどのエリアまで訪問してくれるのかが一目瞭然にわかるマップを掲載までして頂いてます。何というバイタリティーでしょう!その情熱、行動力にはただただ脱帽です。早速、その摂食嚥下関連医療資源マップなるものをネットで見てみると、そういった歯科医は、最も近いところで松阪にしかなく、訪問もどうやら大台町まででした。残念!でも、大台町以北の方で、嚥下がもう少しスムーズにならないか、胃ろうをとるトレーニングをしたい、などと希望されている方がおられましたら、問い合わせてみるのも一手かと思います。
少し話が長くなりましたので、今回は2部に分けたいと思います。1部はこの辺で。ご精読ありがとうございました。


2017年6月19日

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