宮原医院 心療内科
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宮原医院 心療内科所在地

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電話:0598-86-3555
Fax:0598-86-3505

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水曜・木曜・日曜・祝日・土曜午後

診察時間
9:00-12:00/14:00-17:00
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※2 午前11時からの1時間と午後2時からの1時間は、初診の方専用の診療時間とさせて頂いております

お知らせ

●第36回「日本老年精神医学会に参加して」

うっとおしい梅雨の季節となっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか、久しぶりの更新となりました、宮原医院副院長の宮原です。今回は先週お休みをいただきまして、学会に参加してまいりましたので例によっておすそ分けを。

毎回学会に参加する際に、興味ある分野の発表を見繕い、会場をうろうろするのですが、その中でもさらに興味を引いたものをいくつか挙げてみたいと思います。

まずは長谷川式認知症スケールについてです。ご存知の方も多いかと思いますが、多くの病院で、まず初めに行われることが多いこの検査スケールですが、聖マリアンナ医大の長谷川和夫先生が作られ、その後現在までその改訂版が普及しております。その現スケールの定義上は、「30点満点中、21/20点が認知症のカットポイント」ということが長年言われておりました。つまり、そのままの解釈をしますと、「21点以上はいいが、20点以下は認知症の疑いあり」ということになります。確か数年前に、その聖マリアンナ医大の先生からの発表でそのカットポイントを2-3点あげるべきといった趣旨の発表を聞いたことがありましたが、今回もその聖マリアンナ医大から、長谷川式スケールの発表があったので聞いておりましたところ、さらに上がって、25/24点がカットポイントであるべきということ、遅延再生項目での2/3点(6点満点中)もカットポイントになりうるというものでした。確かに臨床上もそう思わせる事案が多いように思われ、そういった感覚がもっと世間様や、他科のドクターにも広まっていけば、より話がしやすいのになあ、と思いながら聞いておりました。

次に光療法について。これもシリーズのように毎年発表される先生がおられるので、毎年続編のように楽しみにして聞いております。今年も拝聴させていただきました。やはり光療法で多くの方に、その夜間目覚め時間や、その回数において効果的に作用することを示唆する発表をされておりましたが、今回はそれに加えて、光療法中止後2か月たった状況におきましてもその効果が持続しているという発表でした。当院でも、2年前から機械をお貸しして、その効果を実感しているのですが、やめると戻ってしまう方も多く、それが悩みの種で、強くお勧めしづらいところでもありましたので、正直意外でした。光の当て方が当院のおすすめとは違う面もありますので、その差かもしれません。いずれにしましても、より詳しいことが分かり、より多角的な面からの検証が必要だという印象を持ちました。つまり、効果があるとかないとか、どんな人にいいとか悪いとか、やめ時はいつだとかを論じるには、まだまだ時間がかかりそうだということで、現時点では、「合う人は使えばいいし、そうでない人は違う手を速やかに考える」というスタンスで行くべき分野かと思いました。

自動車運転に関して。認知症となった方は基本的に車の運転はダメというご時世となってきましたが、認知症の家族の会に参加されたご家族にアンケートを実施し、どのようにして運転することをやめてもらったかを検証した発表もありました。効果的だったのは、「家人が運転手を代行し、本人が行きたいときに行きたいところまで連れていく」「ゴーカート場など運転してもいいところで運転を楽しんでもらう」「運転が止められない間でも一人で乗せず、常に家人が同乗して、その問題意識を家族みんなで共有すること」だったそうです。今、困って見える方がおられましたら、ぜひご参考にしてください。
以上です。いつものことながら、僕なりの解釈をしたご報告をさせていただきましたが、発表者とは違っている可能性もありますので、そこはご容赦ください。それでは今回はこの辺で。


長文ご精読ありがとうございました。

2016年6月27日

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