宮原医院 心療内科
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宮原医院 心療内科所在地

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電話:0598-86-3555
Fax:0598-86-3505

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●第32回「認知症サポート医研修を受けて」

急に寒くなってきました今日この頃です。我が家では薪ストーブの準備に入ったところですが、風邪など召されていませんか?副院長の宮原です。

この連休に認知症サポート医研修を受けてまいりました。国が作った制度で、何年までに何千人作るとか目標だけは立派ですが、果たしてどう機能するのか、出来るのかが疑問であり、また、いろいろ講演なども頼まれそうでしたので避けておりましたが、専門医の自分が持っていないとそろそろ問題がありそうだということで資格を取りに講習をホールで缶詰になって2日間聞いてまいりました。予想通り、一般的な講演が続き、あと75分間の1コマでようやく終わるというところで、小グループ検討会と題して今後のサポート医の役割についてのような話し合いになりました。大体どのグループも8人で構成され、全く別の場所から来た先生同士となるように配慮してあったようです。話し合う前の予想としましては、講義でもあったようにサポート医の役割とは、(1)包括支援センターや専門医療機関、一般医との橋渡しやアドバイザー的な役割をするということ、(2)なぜ(1)のようなことが必要かと言えば、(1)を通じて早期発見、早期治療を確立させ、早期より抗認知症薬を使うことにより、長い時間患者さんのQOLが豊かであるように、進んでしまっても厄介な周辺症状と言われるものが少なくなるように、それによって家族の負担も減らせ、認知症になってしまった家族を嫌いにならない、憎まない良好な関係で人生を過ごしてほしい、あるいは厄介に無周辺症状が出ても、パーソンセンタードケアなどを用いて周辺症状も薬に頼るのではなく、むしろケア中心で治していく時代になってきたのでその啓発やそのアドバイス、多少きれいごとを言えばそういうことになると思うのですが、我がグループで話し合われたことは全くの予想外でした。その下地として、(1)「医師会から行けと言われたから渋々来ただけ」という人が決して少なくなかったということ、(2)サポート医研修に来た人の中で認知症を熱心に診る気が無い人が決して少なくなかったこと、そして何よりも(3)抗認知症薬は期待できない、薬で施設入所を遅らせても結局何にもならない、コストの面も、高い抗認知症薬を使う分だけむしろ無駄遣いだなどと公然と言っている医師が僕らのテーブルでは居た、どころかむしろ大多数だったということです。しかも得意げにそう発言したのは、一般的に専門医となるべき脳神経外科の開業医、精神科病院の勤務医の人間だったのです。愕然とし、絶望的な気分になりました。同時に、まるで10年前までの自分を見ているようでした。実は、認知症を専門にやっていこうと決めるまでの僕も、彼らと同じ考えだったのです。アリセプトという薬が出たと騒いでいるけど、実際どんなものか使ってみようと、ダメもとで何例か使ってみて、「ほら、やっぱり何にも効かない。認知症自体治らない病気なんだから、1年進行を遅らせたって何の意味があるのか」とか、「むしろ副作用が無視できない頻度であるので害になるのではないか」「高い薬の無駄遣いでこんなことするから医療費が高騰するんだ」とか、果てには「認知症は結局老化の極みなので自然なことだ」など、ほぼその討論会の場で出たようなことを、10年前までは僕も口にはしなくとも考えていたと思います。それが、認知症治療にすべてを注ぎ、患者さんやその家族と真剣に向き合い、どのような状況の方でもなんとかその人らしく生きてほしい、その一心で治療している医師に出会い、実際の医療現場を数年にわたり見せて頂き、実際のその患者さんの変化や、家族の喜びようを目の当たりにしたからこそ、考えを改めることができ、今日の僕があるのです。逆にいえば、そのような体験がない医師にどれだけデータを並べて見せても信用しないし、講習を受けてもらっても斜めにしかとらえないし、抗認知症が効くという認識も持てないということを今回で実感しました。抗認知症薬の効果に疑問がある医師が早期発見・早期治療に力を注ぐわけがないし、地域の講演などにも熱が入るわけがなく、サポート医の存在意義が理解できるわけもなく、そのような人にサポート医の権限を与えたところで何になるのでしょう。この制度自体に大きな疑問を感じます。いっそのこと、サポート医自体何の権限もない方がまだましとさえ思いました。帰りに井上桂先生と一緒になり、そのことを嘆くと「僕のグループはみな一生懸命な人たちばかりでしたよ」とおっしゃっておりました。もしかしたら、僕らのグループだけ、そのような人たちだったのかもしれません。正直、かわいそうな方たちだと心より同情しましたが、国は、こういった制度をつくるなら、認知症と真摯に向き合っている人を選ばないと、百害あって一利なしという悪制にもなりうると思いました。こういった医師たちもいろいろな意味でかわいそうだし、こういった医師に診てもらっている患者さんやその家族はもっと悲劇的なはずです。悲しい話ばかりしましたが今日はこの辺で。

追伸
そういえば、テニスでダイエットの報告を少し。始めて6カ月で夢の59kg台はかないませんでしたが、7カ月目についに59.2kgを計測しました(-9kg以上)!結局59kg台は3回だけでしたが、現在も60.4〜6kg前後をキープしております。腕前としましては、始めて3カ月で初級から初中級へと勧められましたが、始めて間もないからと断り、7か月初級に居座り続けましたが、今月より初中級へ移ることとなりました。あるコーチからは「あなたは初中級の中位のレベルです」とのことです。目指せ、中級!と59kg台!

2012年11月5日

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