宮原医院 心療内科
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●第30回 「2012 日本老年精神医学会に参加して(2)」

もうひとつだけ発表をご紹介します。前日に以前健康食品の治験でご一緒したことのある水野先生に久しぶりにお会いし、あちらから話しかけていただいきました。発表されることも知っておりましたので聞かせて頂きました。先生の職場であるI病院で、BPSD(認知症の厄介な周辺症状のことです、例えば、興奮、幻覚、妄想、徘徊など)で入院した患者の入院前、入院直後、一ヶ月後の処方量を調べたら、この三つに時期に有意差がなかっただけでなく、その量はリスペリドン換算で0.3mg/日だったとのこと。しかも、約60%の患者が三ヶ月以内に自宅かGH(グループホーム)に帰れたということでした。水野先生は、パーソンセンタードケアの第一人者です。この数字はその成果なのですが、実際これほど薬を使わず、しかも、こんな短時間で結果が出ているとは思いませんでした。会場から驚愕の声が上がると思っていましたが、実際には静かだったのがもっと驚きでした。数字で出されるとピンとくる人と、こない人がいるということなのでしょうか。おそらく多くの人がこのような数字を自分の病院で出していないからだと思います。もし、あの発表を聞かれていた先生方が皆自分の病院で同じ数字を出して見たら、おそらく9割以上の病院がI病院よりもはるかに悪い数字になり、また、退院先も多くは自宅ではない所になっているはずです。それにしても、いつも思うことですが、このような先生と、学会会場で気さくにしかも、先方の方から声をかけて下さるいい関係のうちに、僕の仕事している地域でも本気でパーソンセンタードケアを実践しようとする施設が名乗り出てくれればいいのになと今回も強く感じました。とてももったいないことです。これは想像ですが、今ならI病院に見学させてもらいに行ったり、水野先生からアドバイスがもらえるかもしれないのになあと悔やまれます。そんなアクションを周辺施設に匂わせて、はや3年以上経っていますが未だに何のアクションも聞こえてきません。もういっその事、自分でそのような施設を作ったほうが早いな、と考える今日この頃です。

そういえば、嬉しいこともありました。以前このコラムの第20回で、三年前のこの学会でタッチパネル式の物忘れをチェックするパソコンのお話をしました。僕は別の理由でこのパソコンに興味があり、一ヶ月お借りさせていただいたことがあるのですが、その際いくつか気になることがありました。それは、(1)検査結果が被検者に見られてしまうこと、(2)データの蓄積をこのパソコンとは別に自分で管理しなければならないことが不便なこと、(3)役場の片隅などでこの機械がおいてあり、ひっそりと1人で検査を受ける場合、耳の遠い人は指示が聞こえず、認知症のない人でも、悪い結果が出るのではないかということです。第20回のコラムには書かなかったのですが、実は3年前にこのタッチパネルを使った研究の発表をされた人に(ポスター発表だったのですが)「上記(1)のことが、このタッチパネルの弱点にもなっていると思いますが、実際の現場でご苦労されることはなかったですか」という趣旨の質問をしたのです。すると、この機械を開発した某大学教授が後ろから出てきて、「検査結果の画面になったら、さりげなく検者が画面を隠すのです」と堂々と言い切ったのです。こんなこと現場でしたら、検者と、被検者との間でいまずい雰囲気が流れるに決まっています。認知症の人は記憶は悪くなるかもしれませんが、感性はシャープになっていきます。そういうところはよく見ています。この問題は誰でも不便と思うことであり、学会で指摘を受けたら、「その通り、そこが弱点です。改善していこうと思います。ご指摘ありがとう」となるとばかり思っていたので、びっくりしたのですが、せっかく開発者がいるので続いて、「この点を改善するご予定はありますか?」とお聞きしたら、「そのような予定はありません」とお答えになり、がっかりしたことを今でも覚えています。現場の声をしっかり聞けば、すごく進化するのに、使いやすくなるのに、もっと聞く耳を持って、せめて「検討してみます」くらいのお答えを頂ければ、いい印象を持てたのになと思ったものです。

今回のこの学会で、書籍を販売するブースで、そのタッチパネル式の機械が発売されており、何となく素通りしたのですが、三年前のことがふつふつと蘇り、Uターンし、そこに座っていた担当者に、「三年前のこの機械を一ヶ月借りた者です。ですから、三年前までのこの機械のことはよく存じ上げているのですが、それ以降改良されたところはありますか?」と、何気なく聞いてみたのです。すると、何と、上記(1)と、(2)が見事に改善されていたのです。僕が指摘したから、改良した、などと、誇大的な考えは持ちません。何故なら何度もいうように、別に鋭い視点を持っている人しか気付かない点でも何でもなく、現場で使えば誰でも思うことだからです。おそらく多くの現場からそのような声が上がったはずなのです。だから僕のおかげとは思わないのですが、それでも自分の意見が通ったみたいで気分が良かったのも事実です。でも、それ以上に嬉しかったのは、前述した某大学教授が聞く耳を持っていたことが実感できたことです。この先生は認知症治療の最前線に立っておられるお方です。これからも僕のような下々の者の意見も聞いてくださる先生であり続けてほしいと心から願います。ついでと言ってはなんですが、そのタッチパネルの販売コーナーの担当者に、上記(3)もお伝えしましたのでそれもフィードバックされれば感動ものなのですが。それでは今日はこの辺で。

2012.6.26

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