● 第26回 「第18回 日本産業精神保健学会に参加して」
暑いですね。今年もすでに暑く、三重でも今年は40度を超えるんじゃないかなどと心配している今日この頃です。さて僕は、今年もお休みを頂き、日本産業精神保健学会に参加してきました。この前の学会のネタは長すぎたので今回は短めにご報告します。
今回の学会の目玉は、例年楽しみにしていた夏目先生が座長に回られたため、自ずと一つの講演に絞られました。それは、料理の鉄人などに出ておられた、H先生という、料理界の重鎮のご講演です。この学会でどのようなお話をされるのか興味がありましたのでいい席をとってじっくりと聞きました。先生のお話は、要約すると以下のようになります(あくまで、僕の理解では、ですが)。
食育とは何か、それは、(1)何を食べたら健康で、安心、安全か解る教育(2)衣食住の伝承を学ぶ(3)食料問題、環境問題を学ぶことの3つが柱である。その中で特に(2)が崩壊してきているのが嘆かわしい。昔は三世帯同居が当たり前の大家族であり、食事も皆で摂り、座る位置も決まっており、誰かが箸の使い方、姿勢などを注意し、それが躾の一場面であったが、今は一人で食事している子が多く、そのような場面がなくなった。その結果怒られずに育つ子が増え、そのまま大人になり、怒られるとすぐにキレてしまい、飽きっぽい大人になってしまっているのではないかと思われる。そう言った人が大人になり、その人の子も同じようになり、日本人はおかしくなってしまった。今回の震災で被災地に訪れると、食卓で被災生活で初めて家族が揃った生活をするようになり、その大切さ始めて知った家族が多かったそうです。今、学校でモンスターペアレントが問題になっているが、釣りに例えれば、学校は、釣り針の作り方を教えるところで、家庭はその使い方を教える所であり、その全てを学校に求めるのは間違っているとおっしゃっていました。魚だけ頂戴という大人にしてはいけない、魚を自分で取れる大人になれるよう、親が育てなければいけないと力説されておりました。
(3)に関しましては、外国で自国の食料自給率はどの位か知っているかという質問をすると、少なくとも、45%多いと75%くらいの人が答えられるが日本人は全く自国の食料自給率を知らない。皆、平和ボケしているのか、「無いなら輸入すればいいじゃん」などと考えているようだが、今、日本の食料自給率は、40%台、近いうちには30%台になる。輸入先の半分以上はアメリカだが、アメリカを含めた数国が、今後日本への輸入を減らす、無くすと言ってきており、今までの様に入っては来なくなる、かなり危ない状況という事を知ってもらいたい、ということでした。
(3)のことはよくわからないですが、(2)に関しては全く同感です。皆が思っていることで、言いづらい事をよく言ってくれました、と思いました。これは、新型うつ病の治療にも通ずることで、なんとかしなければといろいろ策を練るのならば、少なくとも予防の大きな柱となるべきは子育てということになると思います。子供の頃にある程度のストレス耐性を育てることが最大の予防になると思うからです。それがごく一部の人だけがなるならまだ無視も決め込めるでしょうが、これだけ多くの人が発病するとなると患者さんだけでなく、社会全体が未成熟と言った問題を考えなければならないのではないでしょうか。
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