宮原医院 心療内科
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お知らせ

● 第24回 「2011 日本老年精神医学会(1)」

梅雨まっただ中でうっとおしい季節ですね。みなさんいかが過ごされてますか?宮原です。6/15-17まで東京で日本老年精神医学会が行われ、僕も行ってまいりました。勉強になったことも多かったのでおすそ分けを少々したいと思います。長くなりそうなので、2回に分けてご報告します。

6/15の収穫は、ある教授のうつ病と認知症の鑑別のお話が勉強になりました。老人性うつ病の特徴や、認知症との違いは、僕がいつも講演している通りで知っていることばかりでしたが、ただ、鑑別で重視しているのは、病識(自分が病気であることを認識していること)の有無とのこと。家族以上に症状を訴える人は、うつ病の可能性が高くなる。最近の知見としては、うつ病の仮性痴呆(うつ病のせいで、認知症のように見えること)は、うつが治ると認知機能も改善されるといわれていたのですが、実際には、そのまま認知症へ移行することも少なくないということをおっしゃっておりました。また、若い頃のうつ病の既往がある方はそうでない方に比べて、若干ですが高齢になってアルツハイマーになりやすいということもおっしゃっておりました。ということは、うつ病の既往が若い頃にあったからというだけでは、高齢になってうつ病が発症したのか認知症が発症したのかの鑑別に役立たない、どちらもありうるということになります。

他には、従来、うつ状態には、アルツハイマー型認知症よりも、脳血管性認知症の方がなりやすいと言われていたのが、どちらも高率に合併資すると思われること、アパシー(うつ病でなく、意欲だけがなくなっていく病態)は、MCI(認知症発症前の段階の状態のこと)の段階から大体どのタイプの認知症になる人でも高率に持っているということ。ドネペジル(認知症の薬:アリセプトのことです)+セルトラリン(ファイザーさんのうつの薬:ジェイゾロフトのことです)の組み合わせが、認知症によるうつ状態、易刺激性、興奮も抑えることが多くの文献で認められ、パロキセチンでは文献が少ないこともおっしゃっておりました。残念だったのは、ファイザースポンサーのランチョンセミナーに入ったのに、その会場入り口で講演直前に配られた同社のセルトラリンのパンフレットだけが、 老年医学会なのに うつ病一般のもので、学会参加手続きの際に貰った他社のパンフレットはちゃんと、老人性うつ病となっていたこと。せっかくファイザーさんを持ち上げる、いい話をしてくれているのに、老人専用のパンフが無いなら、この学会のためだけでも作るべきだったのでは、と思いました。

6/16には、まず、最先端の認知症医学の最先端というシンポジウムを聞いてきました。何といっても目玉はあの京大の山中グループのお一人が発表された、iPS細胞を用いた、アルツハイマー型認知症の研究のお話でしたが、要はその狙いとしては、(1)病因の解明(2)薬が効くかどうか投与前に事前に判る(3)健常な細胞・組織を作り移植というものですが、現状としましては、約50日で脳組織をiPSから作れるところまでは来たようですが、まだそこまでのようです。しかし、一度大きく発展すると劇的な成果が期待できるだけに今後も注目です。何より世界的な発見をしたグループが、アルツハイマー型認知症をターゲットに研究してくれていることがうれしいといいますか、心強いなあと感じました(もっとも、劇的な成果を上げられた暁には僕などはすることがなくなり、失業するかもしれませんが…。)。

より身近な最先端医療としましては、現時点でも大きな病院で受けれる検査、PET(ペット)のお話です。PETといいますのは、さまざまな物質を放射性物質をくっつけて、患者さんの体内に入れ、その集積具合を画像に写し、解析する検査で、例えば、(1)アルツハイマー型認知症の病因といわれているアミロイドベータの、脳への集積具合を、若いうちからチェックしておき(たまればたまるほど発症しやすい)、早期発見・治療の一助とする、(2)認知症の周辺症状といわれる厄介な症状(幻覚、妄想、興奮、不安など)はモノアミン系(ドーパミン、セロトニン、コリンなど)が原因といわれているので、それらのトレーサーを用いて、その患者さんの脳で異常集積がある物質に効く薬を使えば、薬の選択はバッチリ、などという使い方ができるというお話でした。これまた現実に行われれば、僕の仕事の大半はなくなってしまいますが、いかんせん今の時点ではPETのお代が高すぎ、皆がこれをすれば途端に医療費がパンクするでしょう。もっともっと安くなってくれれば、非常にいい考えと思うのですが・・・。

長くなったのでその(2)へ続きます、今回はこの辺で。

 

平成23年6月20日

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