宮原医院 心療内科
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宮原医院 心療内科所在地

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木曜・日曜・祝日・土曜午後

診察時間
9:00-12:00/14:00-17:00
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※2 午前11時からの1時間と午後2時からの1時間は、初診の方専用の診療時間とさせて頂いております

お知らせ

● 第24回「日本老年医学会に参加して」

梅雨のうっとうしい天気になってきた今日この頃、今年も外来を休診として第24回日本老年医学会(横浜)に行ってまいりました。また今回も興味深い発表も聞いてきたので皆さんにも聞いていただきたく、ご報告します。今回も長めの報告になりそうですが、ご容赦下さい。

(1)運転免許に関して
今月より新改正道交法が施行され、高齢者の免許更新が新しく変わり、認知症がある方の免許更新は、かなり難しくなりました。しかし、今までがぬるすぎたとも思えるようなことが多かったことも事実です。僕の患者さんでも、どう考えても車に乗らないほうがいいと本人、家人にさんざん忠告したにもかかわらず、車に乗り続けていた認知症患者さんはことごとく更新できていたのです。実際今学会の発表でも毎回認知症の自動車運転をテーマに発表している大学があり、今回も発表しておりましたので興味を持って聞かせてもらいました。やはりその大学の統計でも、認知症患者さんが免許更新をしたとき、全員通ってしまったということでした。この後どう移り変わっていくか注目です。しかし結果がどうあれ、認知症があるというだけですべての運転を取り上げるというのは極論のような気もします。勝手知ったる場所だけは問題なくいける人や、同乗者がしっかりしていれば近隣だけならいける人、自動車がなくなったら生きていけないようなところに住んでいる人が認知症の方の中にたくさん含まれており、状態に応じた対応が、行政的な保護も含めた対応が必要ではないかと個人的には感じます。このようなことは以前にも書いたのですが、公共的なバス運営の強化、民営バスの廃止を少し待つなどといった対策はあれ以降も私の診療所近辺では見られていないのが現状で非常に残念です。

(2)アロマセラピーに関して
アロマが認知症の分野でも熱心に研究する大学が現れました。この学会の月刊誌にも掲載されていましたので興味を持って聞かせていただきました。ポイントは日中の覚醒力を上げることと、夕方以降のたそがれ症候群、不眠対策です。聞いていて思い出されたのは、この分野は我が三重大が先進していた数少ないうちのひとつでありました。しかも僕が医学博士になるために指導を仰いでいた先生の専門分野で、実際共著で英文雑誌に掲載されたこともありました。それだけに今学会での発表では、施設や痴呆疾患治療病棟で何とかつけないかと当時の師匠や、病院、施設のスタッフに相談していた2000年前後のことを思い出しました。あのころは、大学がいろいろな意味で混乱している時期で、師匠は忙しく、また病院、施設も興味を示さなかったことから、実践せずに大学を出て、僕は野に下りました。もう少し我慢して残っていたらこのような発表は僕らが5年前には出来たのにと、大学病院を出たことを初めて後悔しました。しかし、あの発表でひとつ疑問がありました。いくつかあったアロマの発表は今回定番のマッサージではなく、アロマオイルをディフューザーというもので広い範囲に香らせるという方法をとっています。実際その方法が楽でスタッフも実践しやすいのですが、ひとつ弱点があります。それは、スタッフの人も嗅いでしまうという点です。スタッフのメンタルヘルスの一助にもなって一石二鳥ではないかという考えもあるでしょうが、正確に言うと、妊婦への安全性は確立されていない可能性があるのです。実際正確なアロマセラピーの本にはそう書いてあります。未だまったく妊婦さんでも安全ですよと言い切れるエビデンスはないと思われ、僕が大々的に施設などでアロマをしなかった理由のひとつであります。発表者は副作用の質問があったにもかかわらず、そのことを話しませんでした。僕も質問したかったのですが、あの部屋には誰の発表にも噛み付いてくる変わった先生がみえ(偉い先生だったらごめんなさい)、どの演者の発表後の質問でも登場し、質問時間の2/3は使ってしまったため、出来ませんでした。座長がもう少しコントロールできなかったのかと残念でした。僕の考えすぎならばいいのですが、アロマがこのまま広がってしまうのは心配です。実際、この学会で様々な医療機器メーカーなどが商品を出展するブースがあり、アロマのメーカーもありました。そのメーカーさんに同じ質問をぶつけてみましたが、やはり絶対安全とは言い切れないということでしたので、僕の心配しすぎというだけではないと思います。

(3)タッチパネル式の認知症診断
これもある大学を中心に徐々に広がっているやり方で、日本光電さんで作られており、実は当院も今年一週間ほど借りて、患者さんにしてもらったり、何箇所かの地域包括センターのスタッフさんなどにも見てもらいました。確かに被検者一人でも施行でき、5分以内に終わり、かなりの精度で認知症を見分けられる優れものですが、弱点もあります。個人的な意見ですが、結果を知りたくない人にも検査後、画面で出てしまうため、見られてしまうのです。多くの人を並ばせてやると、個人情報の保護という点で問題が起こるため、物忘れ検診では使いにくいなと思いました。あと、そのタッチパネル式のコンピューターが安くはないというものです。さらに経時的な変化を追えるという機能がないためその処理は自分でしなければなりません。あと、音声ガイド付きなのですが、大きな声でないと聞こえないし、静かな所でしかできないということです。もちろん結果も音量を大きくすると大声で発表されてしまいます。メーカーさんによるとこのような弱点は今の所改良する予定はないということで当院では購入を見合わせました。とはいえ、このシステムを開発した大学だけでなく、違う所でも多く使われているようで実際この学会でもポスターでの発表があり使い方によっては有意義なものになることも証明されました。日本医大の街ぐるみ認知症相談センターさんです。かかりつけ医や、パラメディカルの方とも連携してモデルとなる姿を懸命に模索している姿に好感が持てました。僕の住むこの町も、同じタッチパネル式のスクリーニング機器を購入したと聞きます。是非、うまく使いこなしていただくことを切に願います。

(4)レビー小体型認知症(DLB)の発表を聞いて
DLBに関する発表を集めたセッションも聞きました。ひとつうれしかったのは、アリセプトの使い方です。僕の認知症の師匠の河野和彦先生は10年近く前から、アルツハイマーの方はもとより、より薬に弱いとされるDLBの方は特にアリセプトの用量に関して慎重であるべきと提言してまいりました。その河野先生の弟子である僕も当然行動を共にしてまいりましたが、当時、松阪の大きな病院の神経内科の先生に提案しても、鼻にもかけられず、また近年でも、ある認知症で有名な専門医の先生から「アリセプトをそんな微調整する話など聞いたことがないし、必要と思ったこともない」と一蹴されました。ほんの2-3年前の話で、その会議には河野先生も出席しておらず、他の先生も僕と同意見な人はいなかったので、孤立し、悲しい思いをしました。しかし、今回のある方の発表のあと、質問者が「アリセプトを少量、1.5mg/日から始めたらもっと結果はよかったかもしれませんね」と言いました。演者がどう答えるのか見ものと、目を光らせて返事を待っていたところ、「この研究は2年前のもので当時はそのような知識はなかったのですが、現在では少量から使っております」と言う返事だったではありませんか!それを聞いてようやく、長年河野先生が提唱してきた概念が認められてきたなと一人感慨にふけっておりました。ずっと前からエーザイさんには、アリセプト1mg錠を作ったらいいのにと提案してきました。河野先生もしているとのことでしたが、今の所作る気配がないようです。もうすぐアリセプトの特許が切れ、他のジェネディックメーカーから1mg錠が出るようなら、そちらを購入したいと考えてます。

予想どおり長くなってしまいました。ここまで読んでくださった人に感謝申しあげ、今回はここまで。

平成21年6月22日

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