宮原医院 心療内科
 トップページお知らせ(コラム)>老年診療内科のミニ勉強会  第15回「第22回 日本老年精神学会に参加して」
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お知らせ

●第15回「第22回 日本老年精神学会に参加して」

 今年も外来を休ませていただいて、10月15,16日と上記学会へ参加してきました。今年は国際学会と共同開催のため、学会期間が例年の6月から10月へと変わり、また発表も数多くありました(そのかわり、ポスター発表などは英文のためよく分かりませんでしたが)。やはりいつもの学会とは違い、いろいろな人種の人が集まり、白人女性に道を聞かれることもあり、自分の語学力のなさを痛感した学会でしたが、その中でも興味あるシンポジウムもあり、その一部をご紹介します。

 最も興味深かったのは、アルツハイマー型認知症についての最新情報をまとめたシンポジウムで、それによりますと、まず、薬ですが、近年テレビでも紹介されたので、ご存知の方もおられるかもしれませんが、抗痴呆薬の研究について聞いてきたことを僕なりにかみ砕いてお話します。そのためにはなぜアルツハイマーが起こるかということから話さなければなりませんが、アミロイドβというものが前駆体→単量体→重合体→アミロイド繊維と変わっていくわけですが、どうやら重合体が直接的に、アミロイド繊維が間接的に作用して起こっているのではないかということを示唆する研究データがあるようです。ただこれとて決定的なことが言えるわけではなく仮説のようですが。その中でそれぞれの状態で捕まえて、やっつけてしまったり、次のステージに行くことをブロックしたりして止められないかという研究を世界中の研究者が行っているということでした。ちなみに先日テレビで流れたのは、上記単量体をてんぷらでいえば、衣のようなもので覆ってしまって無力化する薬ということだったようですが、実用化されるのはワクチンも含めてどれもまだまだ先の話のようです。

 それよりも面白かったのはアルツハイマーと老化の話です。統計によると、加齢によって認知症になる確率はどんどん増えていき、脳血管性の認知症は80代でその上昇率が頭打ちになる以上、それより上の年齢で発症する方の殆どはアルツハイマーということになり、加齢の極み=アルツハイマー、ひいては「アルツハイマーは加齢によって起こるものだからある意味自然現象で仕方がない、あるいは病気ではない」などという人もいるかもしれませんが、それを覆すデータが出ているということでした。90歳を超えて発病した認知症患者を調べてみると、アルツハイマーと関係があるとされるアポ蛋白E4を持っている方は殆どおらず、また、アルツハイマーの典型的な初期症状である、場所の見当識障害や近時記憶(最近の記憶)障害が初期では殆ど見当たらないという驚くべき結果がでました。つまり、超高齢発症の認知症はアルツハイマーではないのではないかという疑惑がでてきたのです。もしこれが本当なら新しいタイプの認知症となり、同時にアルツハイマーは加齢の極みではない、80歳代までで頭打ちとなる病気ということになります。しかもこれは日本人が世界で最初に言い出したことのようです。認知症は日々いろいろなことが判ってきましたが、まだまだわからないことのほうが多い未知の病気なのです。早く全容が解明されるといいですね。

2007年10月17日

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