● 老年心療内科のミニ勉強会
第2回「改定長谷川式痴呆スケール(HDS−R)について」
一般の方にはあまりなじみのないスケールでしょうが、実は日本人の長谷川という先生が作られた痴呆スケールですが、最近アメリカでも良く使われるほど、簡単に検査でき、しかもかなり信憑性があるものなのです。
もちろん当院でも必ず行う検査ですし、介護保険の意見書を書く際にも義務付けられてはいませんが、書くべきといわれているくらいです。「副院長の独り言」でも、現場レポート的なものも掲載していくつもりですが、その際にも読み進めていく上でこのスケールを知っておかないと判らない事が出てくるかもしれませんので、ここで簡単に説明しておきます。(僕がやっている勉強会(大宮町、宮川村、紀勢町の一部の介護職員、看護士、社協の職員の方)に参加してくださっている方は、かなり詳しく説明してありますので、読んでいただかなくて結構です。)
形式は検者(検査する人)が非検者(検査される人)に、いくつかの質問をしていくというものです。「ここはどこ」「今日は何月何日」などの検討式障害を診る検査をしたあと、記憶力を見る検査をいくつかして終わりです。かかる時間は5分以内です。
それで、30点満点で何点あるかというのが問題なのですが、21点以上あれば非痴呆、20点以下であれば痴呆と判断するというスケールです。点数で重症度は決められないとも言われていますが、大まかに言うと、18点前後が軽度痴呆、15点くらいが中等度、10点前後が重度といったところです。
ただアルツハイマー型痴呆の方では20点を超えていても、すでに発症してしまって日常生活に支障を来たしている方も見えますので、完璧なスケールではありませんが、専門医でなければ、このスケールで判断すれば大きな間違いはないだろうといわれています。
実際、専門医では、合計点のほかに細かいところをチェックして、20点以上のアルツハイマーを拾っていく工夫をします。それほど詳しいところまでは一般には知らなくていいでしょうが、もし介護職につくなどしてそれを仕事としている方などで、そういったことまで知りたい方は、外来の空いているところにでも予約していただければ、患者さんが来るまでの間ご説明します。また、一般の方もこのスケールが実際どんなものか知りたい方は当院にご来院くだされば、その試験紙を差し上げますのでお気楽に連絡ください。
2004年11月24日
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